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「FATCA」「CRS」とは?CRSは海外投資を考えている方、投資にしている方の基本知識

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CRSとは

海外に資産をお持ちの方はもちろん、これから資産を持とうと考えているみなさんは必ず知っておかなければならないことがいくつかあります。
その中で、ここ数年話題になっているのが「CRS」・・・共通報告基準(Common Reporting Standard)ではないでしょうか?
そして、その元になるFATCA(ファトカ)・・・外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act)の二つは「海外投資」の意味を考える上での基礎知識となりますので簡単にまとめてみました。

FATCAとは

FATCAとは、2010年に米国で成立された外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act)の略称で、米国政府が外国(米国以外の国を指す)の金融機関に対して、米国人の口座情報をIRS(内国歳入庁)に報告するように義務付ける法律のこと。

つまり、米国政府はFATCAの導入により米国人の正確な国外所得を入手できる制度を構築をし、米国人富裕層の租税回避(課税逃れ)を防止しようとしたのです。

そもそもの始まりは、2008年に米国が秘密主義で知られるスイスの金融機関の扉を開けさせたからと言われています。
大手プライベートバンクのUBS銀行は、米国人の脱税容疑に関連して米国政府から顧客情報の開示を迫られ、紆余曲折の結果この要求に応じることになりました。
さらにスイスの金融機関は米国政府から脱税幇助を疑われ、スイス政府は租税条約の改正まで行ったのです。
このUBS銀行の脱税幇助事件に端を発し、米国で制定されたのがFATCAです。

FATCAの対象となるのは、個人だけではなく、もちろん法人も含まれます。
また、米国人でなくても米国で納税義務がある人も含まれるため、日本人(日本国籍を有する人)であっても米国に居住する人は対象となる場合もあります。
何はともあれ、日本においてFATCAの影響を受けるのは、多大な事務とコストを負担する金融機関とその関係者。

なぜ、米国外の金融機関がFATCAに従うかというと、FATCAに協力しない米国外の金融機関には30%の源泉徴収義務が課せられるから。

30%?? と思う方もいらっしゃると思いますが・・・

30%です。

この源泉徴収義務を回避するために、米国外の金融機関は米国政府とFFI( Foreign Financial Institution)契約を締結することになるのです。

FACTAは日本の金融機関に多大な影響を及ぼします。

ですが、米国に納税義務のない日本人富裕層にとっては、たとえ国外に財産を保有していても影響はなかったのです。

しかし、迷惑なことに富裕層の租税回避を防止することは、なぜか世界各国の共通の問題意識。

そして、このFATCA導入の流れを受けてOECDは2014年に金融口座情報の自動的交換に関する共通報告基準(CRS)を制定したのです。

CRSとは

CRSとは、2014年にOECDで策定された共通報告基準(Common Reporting Standard)の略称のこと。

金融口座情報の自動的交換の対象となる非居住者の口座や特定方法や情報の範囲等を各国で共通化する国際基準です。

これにより、国際的な租税回避を防止するために金融機関が非居住者に係る金融口座情報を税務当局に報告し、これを参加国の税務当局で互いに提供し合うことなりました。

さらにG20がCRSを承認したことにより、2017年又は2018年末までに金融口座情報の自動的交換が開始されることとなり、50以上の国が2017年より導入することを表明しました。

2017年に情報交換した国・地域

Anguilla,アンギラ
Argentina, アルゼンチン
Belgium, ベルギー
Bermuda,バーミューダ
British Virgin Islands, イギリス領バージン諸島
Bulgaria, ブルガリア
Cayman Islands, ケイマン諸島
Colombia,コロンビア
Croatia, クロアチア
Cyprus2, キプロス
Czech Republic, チェコ共和国
Denmark, デンマーク
Estonia, エストニア
Faroe Islands, フェロー諸島
Finland, フィンランド
France, フランス
Germany, ドイツ
Gibraltar,ジブラルタル
Greece,ギリシャ
Guernsey, ガーンジー島
Hungary, ハンガリー
Iceland, アイスランド
India, インド
Ireland, アイルランド
Isle of Man, マン島
Italy, イタリア
Jersey, ジャージー
Korea, 韓国
Latvia,ラトビア
Liechtenstein, リヒテンシュタイン
Lithuania, リトアニア
Luxembourg, ルクセンブルク
Malta, マルタ
Mexico, メキシコ
Montserrat, モントセラト
Netherlands,オランダ
Norway, ノルウェー
Poland,ポーランド
Portugal, ポルトガル
Romania, ルーマニア
San Marino, サンマリノ
Seychelles, セイシェル
Slovak Republic,スロバキア共和国
Slovenia, スロベニア
South Africa, 南アフリカ
Spain, スペイン
Sweden,スウェーデン
Turks and Caicos Islands, タークス・カイコス諸島
United Kingdom, イギリス

日本においては、非居住者の金融口座情報の自動的交換のための報告制度を整備することとされ、2017年から金融機関による対象口座の特定が実施され、2018年にCRSに従った各国間の自動的情報交換を開始されることとされています。

2018年から国外にある日本人や日本法人の金融口座情報は自動的に日本の税務当局に送られてくることとなってしまうのです。

2018年に情報交換される国・地域

Andorra, アンドラ
Antigua and Barbuda, アンティグア・バーブーダ
Aruba,アルバ
Australia,オーストラリア Austria,オーストリア
Azerbaijan3,アゼルバイジャン
The Bahamas,バハマ
Bahrain, バーレーン
Barbados,バルバドス
Belize, ベリーズ
Brazil, ブラジル
Brunei Darussalam, ブルネイ
Canada, カナダ
Chile, チリ
China, 中国
Cook Islands, クック諸島
Costa Rica, クック諸島
Curacao, キュラソー
Dominica,ドミニカ
Ghana,ガーナ
3 Greenland, グリーンランド
Grenada, グレナダ
Hong Kong (China), 香港(中国)
Indonesia, インドネシア
Israel, イスラエル
Japan, 日本
Kuwait, クウェート
Lebanon, レバノン
Macau(China), マカオ(中国)
Malaysia, マレーシア
Marshall Islands, マーシャル諸島
Mauritius, モーリシャス
Monaco, モナコ
Nauru, ナウル
New Zealand, ニュージーランド
Niue, ニウエ
Pakistan3, パキスタン
Panama,パナマ
Qatar,カタール
Russia, ロシア
Saint Kitts and Nevis, セントクリストファー・ネイビス
Saint Lucia,セントルシア
Saint Vincent and the Grenadines, セントビンセント・グレナディーン
Samoa, サモア
Saudi Arabia,サウジアラビア
Singapore, シンガポール
Sint Maarten,シントマールテン島
Switzerland, スイス
Trinidad and Tobago, トリニダード・トバゴ
Turkey, トルコ
United Arab Emirates, アラブ首長国連邦
Uruguay,ウルグアイ
Vanuatuバヌアツ

2019・2020年に情報交換される国・地域

Albania (2020),アルバニア
Kazakhstan (2020), カザフスタン
Maldives (2020), モルディブ
Nigeria (2019), ナイジェリア
Peru (2020),ペルー

情報交換時期が未定の国・地域

Armenia, アルメニア
Benin, ベニン
Botswana, ボツワナ
Burkina Faso, ブルキナファソ
Cambodia, カンボジア
Cameroon, カメルーン
Chad, チャド
Côte d’Ivoire, コートジボワール
Djibouti,ジブチ
Dominican Republic, ドミニカ共和国
Ecuador, エクアドル
Egypt, エジプト
El Salvador, エルサルバドル
Former Yugoslav Republic of Macedonia, マケドニア旧ユーゴスラビア共和国
Gabon,ガボン
Georgia, ジョージア
Guatemala, グアテマラ
Guyana, ガイアナ
Haiti, ハイチ
Jamaica, ジャマイカ
Kenya, ケニア
Lesotho, レソト
Liberia, リベリア
Madagascar, マダカスカル
Mauritania, モーリタニア
Moldova,モルドバ
Mongolia, モンゴル
Montenegro,
Morocco, モロッコ
Niger, ニジェール
Papua New Guinea, パプアニューギニア
Paraguay, パラグアイ
Philippines, フィリピン
Rwanda, ルワンダ
Senegal,セネガル
Serbia, セルビア
Tanzania,タンザニア
Thailand, タイ
Togo, トーゴ
Tunisia, チェニジア
Uganda, ウガンダ
Ukraine,ウクライナ

CRSにより報告義務を負う金融機関・金融口座・口座情報は以下の通りです

金融機関

・銀行等の預金機関(Depository Institution)
・生命保険会社等の特定保険会社(Specified Insurance Company)
・証券会社等の保管機関(Custodial Institution)
・投資信託等の投資事業体(Investment Entity)

告対象となる口座

・普通預金等預金口座(Depository Account)
・キャッシュバリュー保険契約・年金保険契約(Cash Value Insurance Contract、Annuity Contract)
・証券口座等の保管口座(Custodial Account)
・信託受益権等の投資持分(Equity Interest)

口座情報

・口座保有者の氏名・住所
・納税者番号
・口座残高
・利子・配当等の年間受取総額

日本と金融口座情報の自動的交換を行う参加国は、日本と租税条約等を締結しており、かつ、CRSに参加することを表明している国(約100カ国)です。

これには、タックスヘイブンとして有名な香港やシンガポール、スイスも含まれているのです。

その国に資金がある方にはすでに何らかの案内が届いているということなのです。

驚くべきは、CRSの参加国に入っていない国があります。

それは「アメリカ」です。
OECDにはもちろん加盟しているアメリカですが、CRSについては適用されない国の一つとなっています。

FATCAがあるから??

FATCAとCRSには相違点がいくつかあるものの共通点が多いため、FATCAはアメリカ版CRSとも言ってよいでしょう。

アメリカにしてみればFATCAにより米国外の金融機関から金融口座情報が送られてくるため、CRSには参加しなくても良いと判断なのでしょうか?

注目すべきはCRSに参加していないアメリカからは何の金融口座情報も提供されてこないこと。

ということは・・・今後、アメリカは世界一のタックスヘイブン国となるということ??

米国が世界一のタックスヘイブン国となると、今までパナマ等のタックスヘイブンにあった資金が米国へ移動する可能性が高いですよね。

特にCRSにより自動的情報交換がはじまるとあればそのスピードは加速されるに違いありません。

現に、米国の中でも秘匿性が高いデラウェア州やネバタ州に資金が集まってきているという話もあります。

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